English Gardens

ロンドン備忘録

出発〜ゲストハウス

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友人のキャリーバッグを借りて出発。

自分に所属していないものが横に付いてきてくれるのはとても心強い。

出発前になって、キャリーバッグには目印のタグをつけなければいけないと思い至り、普段ショルダーバッグにつけているイニシャルSのタグを付け替える。

これも友人が誕生日にくれた大事なタグである。非常に心強い。

今年が始まって2日目に買ったリュックも、すっかり馴染んで頼もしい。

 福岡空港で1人不安になって泣く。

 

見送りに来てくれたR君と話をする。

帰ってくる時にはもう別の人間だから、君はこのバージョンの私に会った最後の人間だ。と言うと、アイデンティティクライシスの瀬戸際ですね。と返ってきた。

手荷物検査に入るところで、手を振って別れる。

 

このあたりの手続きにはもう慣れている。

海外に行くのが「初めてではない」ということをありがたく思う。

その代わり、初めて「ひとり」であることに意識が向かう。

お昼前に福岡を出発。

韓国に向かう飛行機の中で、また泣く。

 

仁川空港のトランジェット検査で、福岡で買ったばかりのペットボトルを回収される。

学習。

一口飲んでおいて良かった。

1時間ほどで乗り継ぎ便が来る。

 

韓国人のおばちゃんが何やら韓国語で話しかけてくる。

大韓航空では(CAさんからも)日本人はとりあえず韓国扱いされる。

だから韓国語で「韓国語は話せないんです」と返すと、

「あらー(日本人なのねー)ここ空いてるところに荷物置いていいからねー」

と、さらに韓国語で返される。

考えてみれば英語圏に行く時はいつも韓国経由だった。だから言葉のスイッチも、英語に行く前に韓国語を経由することに慣れている。

機内ではディズニー映画を見ることに決めている。

今回は「カールじいさん」と「アラジン」。

BBCチェルシーフラワーショー特集もやっていた。

 

16時間ほど移動して、ヒースロー空港に降りたのは18時くらいだっただろうか。

「母国」に到着。

ここからはとにかく、今日から40日お世話になるゲストハウスにたどり着かなければいけない。

入国審査では「何しに来たの?」とお決まりの質問だったので「For sightseeing.」と教科書通りに返す。

「40日も?」

「はい」

ここのところで詳しい説明をした方がいいのかどうかよくわからない。

「どこに泊まるの?」

ウエストハムステッドの近くのー…」

「この住所は何?ホテルか何か?」

「ゲストハウス的な」

「あーね」(福岡弁訳)

あとは何だかよくわからなかったけれど、通してくれたから良しとする。

 

Sのキャリーバッグと無事再会して、到着ロビーに出ると、たくさんの出迎え客が紙に名前を書いて掲げている。

その中に私を待っている人はいない。

wifiが繋がるのを確認して、「Underground」の表示に従って地下鉄に向かう。

ICカードオイスターカードと言う)は日本で手に入れていたので、とにかく全てを通過して地下鉄に乗る。

空港を出るとしばらく地上を走る。

窓の外にはなだらかに広がる丘と、木々と、夕方の散歩をする人々が見える。

緯度が高いこの国では、やっと日が傾いてきたところで、眩しい西日が差し込んでくる。

イギリスだ。

隣からは日本語が聞こえてくる。おそらく現地で働いている、ビジネスパーソンの男女。

英語ではない言語が聞こえてくるのも、この街の日常なんだろう。

使い慣れた言語が聞こえてくる安心感も、旅先で同郷の人に出会う興ざめ感も、不適切だ。

再び列車は地下へ潜り、景色も、頭の中もしんと暗くなる。

 

予定通りの乗り換えをして、最寄駅に降り立つ。ロンドン北部の閑静な住宅街。

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 ひとりだし、早く行かないと夜になってしまうから、と、張り詰めていた緊張の糸が緩む。

穏やかな夕暮れの空には雲ひとつなく、小さな月、空気はまだ冬の気配を残し、レンガの壁には蔦とスプレーの落書き。

人々はそれぞれの行くべき場所に向かって、足を止めることなく進んでいく。

空港からずっとそうしてきた私は、ここで初めて立ち止まって写真を撮る。

よろしく。

 

最寄駅からは5分ほどで着くはずだった。いつもそうするように、出国前にグーグルのストリートビューで既に「歩いた」道を辿る。

人通りが多く、賑わいのある街だ。

目的地はすぐに分かった。

表札が無い代わりに、可愛い「8」番地のプレートがかけてある建物のベルを押す。すると、けたたましい犬の鳴き声と共に、いかにも「イギリスに住んでいる日本人女性」(その時はそう思った)が出迎えてくれた。

そのまま玄関には入らず、玄関横の階段を地下へ降りて、もうひとつの入り口に案内される。

そこがゲスト用の入り口になっていて、中は二段ベットが二つに広いキッチン、バスルームがついた綺麗な部屋だった。

その時部屋にいた長期滞在の高校生Rちゃんが、一緒に部屋の使い方を説明してくれる。

出迎えてくれたのは、メールのやり取りをしていたオーナーさんではなく、住み込みでお手伝いをしているMちゃん。

 

一通り説明を受け、お腹も空いていないので、早速シャワーを浴びて就寝の準備。

二段ベッドの上は天井に近い。

獣医のYさんが帰宅。

高いところからご挨拶をする。

 

さて、明日はどこに行こう。