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English Gardens

ロンドン備忘録

プリンシズ・アベニュー

5/22続き

 

ヒースの向こう側。

ハイゲイト墓地が近かったはず。

 

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かなり登って来たから、景色が良い。

どれくらい高級な住宅街かは、女性のセレブ感で察してください。

ロンドンで最も標高が高い地点の一つ。

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今日目指しているのは個人宅。

「人の家の庭」が見たかった。

イギリスにはNGSというチャリティ団体があって、毎年「Gardens to Visit」という本を発行している。

そこには、NGSに登録する個人が、何月何日に自宅の庭を開放するか、入場料、連絡先、庭の説明などが載っている。

イギリス全土で3800件。

ロンドンだけで18ページ分あるので、そこをコピーして持って行った。

何百件あるとはいえ、時期は5〜7月に集中しているし、個人宅なので開放日はほぼ日曜だし、郊外の家が多いので、行ける場所は限られてくる。

 

こういう本を持って行くのだと友人たちに話しても、

「庭を開放するの?」

「それを見にいくの?」

「そんなに個人情報載せてて大丈夫なの?」

という質問が先に来るから、説明が必要。

こちら(イギリス側?)からしてみれば、それくらいの情報はあって驚かない。

庭を見たい人がいれば、庭を見せたい人もいるわけで。

 

Highgate Woodを通っていく。

本当に、街中にあっさり森が出現する。

 

落ち着いた住宅街に差し掛かると、目的地は分かりやすかった。

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バックヤードに続く細い通路で、男の子が二人受け付け係をしている。

お互い好奇の目で見てしまって、ぎこちなくなる。

入場料を払うと、チケットを渡して

「これで向かいの家も見れます。」

と説明をしてくれる。

英語通じるのか?って顔に出ているぜ、少年よ。

その辺のことも全部本には書いてある。

入場料はチャリティに回される。

 

ゲートをくぐって、庭に入る。

一般的な、というのか、イメージ通りの大きさ。

細長い長方形の、きちんと手入れされた庭。

テラスではお茶が振る舞われ、数組が談笑している。

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どういった態度で見ていいのか分からなくて落ち着かない。

アジアから一人で個人宅を見に来る人間がどれくらいいるんだろう。

1軒目だからしょうがないね。

ひとまわり見ていたたまれなくて出てしまう。

 

庭は、近所でグループとして公開されることもある。

一日で複数見れるのはありがたい。

はす向かいのお家も同じように、 バックヤードに入るところに受付があった。

こっちはおじいちゃんおばあちゃん。

チケットを見せる。

もう一つ見てきたんだね、の笑顔でウェルカムされて、すこし落ち着く。

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こちらの庭も、同じような形。

もちろん様子は全然違う。

それにしても、木の高さはなんだろう。

このあたりになると、家はそこまで古くなさそうなのに、木は何十年もそこに立っているように見える。

中央には芝。

周りにはオダマキや、タニウツギやいろいろ。

木には白いツタバラが這い上って見事に咲いている。

黒っぽい葉のモミジ。

フジや芍薬にはそんなことないのに、モミジには日本を感じてしまうのは何故だろう。

こっちの人もこれを見るとオリエンタルな感じがするんだろうか。

 

先ほどの経験を生かして、場にコミットする努力。

お茶を一杯いただく。(有料。)

どこも庭に面した部屋にちょっとした水回りがあるのね。

 

お茶を飲みながら、もう一周。

老婦人が旦那さんと、モミジがこの庭に与える影響について検討している模様。

「きれいねぇ」

という、誰に向けたでもない言葉に反応する。

「本当ですね。」

庭の話の始まり方は万国共通。

話の続きは、植物の名前と相場が決まっている。

セントジェームズパークで見かけた、

美しい水滴を作る植物の名前が知りたかった。

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あの、この植物の名前ご存知ですか。

「ああ、それはスィードゥムよ。」

すぃーどぅむ?綴りは…?

 「S・E ・D ・U ・M。たぶんね。」

ああ、セダム

「植物の名前には詳しくないんだけど、これはうちにあるから知ってるの。でも検索して確かめてね。」

雨の後の、葉っぱの水滴が素敵だなと思って。

 「I know. ピンクの花が咲いてね。」

ピンクの花?

「あら、知らないの?そう、ピンクの可愛い花よ。」 

日本では見たことないです。

「まぁ日本から来たの。このあたりに滞在しているの?」

ウエストハムステッドに。そこから歩いて来ました。2時間かかっちゃった。

「まぁー大変!でも健康的でいいわね。庭が好き?」

はい。イギリスには庭を見に来たんです。

「このあたりなら、ケンウッドハウスのRhododendronがとってもきれいよ。色が素晴らしいわ。」

見ました!すごかった。

「自分の庭はあるの?」

いいえ。

「いつかはやってみたいと思うでしょう。」

そうですね。

「I hope your dream comes true.」

どうも、ありがとう。

 

最後の一言が何かに響いた。

カップを返して、庭を出る。

 

 

自分の庭なんて考えたこともなかった。

でも、庭好きなら、そう思うのが当然。

同じ庭好きなら、それを願って当然。

本当に、先回りして、手を差し伸べてくれる。

 

暫定的には、こうやって、知らない人と、何気ない庭の話をするのが私の夢だった。

それは叶ってしまった。

 

長い道のりを引き返す。

最後の一言が頭の中でぐるぐる回っている。

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学校らしき建物の前に、ピンクのバラがたくさん植えてある。

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こんな学校に通いたかったよ。

(後に、宿のオーナーの子どもが通っていることが判明。いいなぁ。) 

 

Yさんと入れ替わりで、同世代のYちゃんがやって来る。

私と同じくしばらく観光でいるらしい。

楽しそうな子。